家相建築設計事務所様 連載(144)~家相の流儀・流派~

賃貸物件の運気を上げる

家相建築のすすめ

第8回 家相学と風水術との違い

 

今回も賃貸物件の家相について説明したいと思います。家相建築の知恵を活用して、実りあるアパート経営を目指してください。

 

家相学と風水術を同じものだと思っている人は多いのではないでしょうか。確かに、家相も風水もその起源は古く、中国やインドの多くの思想と共に日本に入ってきました。

諸説ありますが、本来の風水は、都市計画学のように活用されていました。まずその土地で一番いい気が吹き出している場所を定め、支配者たる帝王の居室を構えます。そして、そこを中心に重臣など主だった者の住まいを決めて、順次、家臣や商人、農民などの住まいを配置していきます。そして、もう一つ大切なのは、死者のための場所を設けることでした。

生きて生活している人の住まいを陽宅、死者のお墓を隠宅と呼び、両者が方位の力を使ってともに栄えるようにするのが、風水の基本的理念です。

現代でも、中国や台湾で広まっている風水はこの思想を受け継ぎ、高層ビルなどの現代建築にも重用されています。設計者よりも風水師の意見が重きを成すともいわれるほどです。本来の風水師は、土地の気脈からその気を悟り、エネルギーの高い場所を探し当てる才能がありました。ある意味、人智を超えた超能力者だったかもしれません。

 

家相については、この風水の陽宅についての考え方が起源とされる説もありますが、定かではありません。大陸と日本では気候・風土も異なり、食べ物や水、生活習慣も大きく違います。そのため、同じように考えるのには無理があると思います。ただ、今と昔では、人の感性も大きく違っていたはずです。暦がなくても季節の移り変わりを正確に把握し、時計がなくても時の進み方を体感でき、天気の変化にも対応できる人は現代人よりも多かったのではと、私は思います。その研ぎ澄まされた感性で、日本の気候や風土に合った独自の家相を作り上げたのではないか、思うのです。

 

家相と風水の違いに話を戻しましょう。今の日本で使われている風水は、本来の風水とは違います。本来の都市計画学といった側面は影を潜め、ラッキーカラーやラッキーアイテムといったもので運気を上げる、手軽な風水術としてよく知られています。また、家相には、鬼門という、だれに対しても危険な方位という考え方がありますが、風水には鬼門のような考え方はありません。これは、家相と風水の全く違っているポイントといえます。

家相では、玄関が鬼門方位にある場合には、リフォームして別の場所に変えなければならないので、時間もお金もかかります。ですが、風水ではたとえ鬼門の玄関でも、そこにラッキーアイテムやラッキーカラーのモノを置くことで対処できます。

私は家相家なので、ラッキーアイテムやラッキーカラー鬼門の災いへの不安がなくなるとは思いません。しかし、玄関の場所をすぐに変えることができないときには風水術を使って時間を稼ぎ、用意が整ったらしっかりリフォームする。このようにお互いを補い合いながら活用することはすすめたいと思います。

家相と風水は補完関係にあるので、こうした形が最良なのです。皆さんも、家相と風水の違いを知って、上手に活用してほしいと思います。

家相建築設計事務所 代表 佐藤秀海