家相建築設計事務所様 連載⑪~家相の流儀・流派~(H24.6.29)

 こんにちは、佐藤秀海です。
 今回は家族が集まる憩いの場、リビングの家相について説明します。
 家相を考えた家づくりの基本は、建物の構えと玄関の方位、ガスレンジなどの火気やトイレなどの水まわりの配置にあります。しかし、それだけよくしても「家相だけよい家」にしかなりません。やはり、家族が集まりみんなでくつろぐリビングの家相も重要です。
 私のお勧めする家相建築では、何より採光と通風を大切にしていますが、気学など運命学をもとにした家相ではそうとも言えません。「この位置は方位が悪いので窓が取れません。壁にしましょう。」と、結局、日当たりが悪い家をよく見かけます。要するに、薄暗いリビングの家なので、何のための家相なのか、残念でなりません。
 せっかく、家相をよくするのであれば、家相を考えていない家よりも居住性がよくなるような心構えで臨んでほしいと思います。
 また、昔ながらの家相では、とにかく玄関や火気、水まわりを東南や東方位に配置したがるので、やっぱり日当たりの悪い家になってしまいます。普通に設計すれば日当たりのよいリビングが取れるのに、家相を取り入れたために日当たりが悪くなってしまうケースも多く、こんな家を今までどれだけ修正してきたか、それこそ数えきれません。何度も言っていることですが、家相を転ばぬ先の杖として活用することが、本当に大切です。正しく活用すれば、家相も無難で採光と通風に適した家となり、かといって建築費が上がるわけでもありません。知恵を使ってもお金はかからないので、コストに跳ね返る心配もありません。
 それでは、リビングのポイントをいくつか説明します。
 1.リビングは日当たりのよい南側のスペースを基本とする。
 2.狭小地などで1階の採光が確保できない場合には、2階リビングプランも
  検討する。
 3.採光を確保するため吹き抜けを活用することは構わないが、家の中央部を
  避けて大きすぎないように注意する。
 4.採光を得るためにトップライトを活用してもよい。
 5.天井の高さを通常の2.4mよりも高く、できれば2.7mを理想とする。
 日当たりを考えれば、リビングを南側に配置するのは当たり前です。家相をよくするためでも、日当たりのよいリビングをあきらめることはありません。
 1階がだめなら2階、2階がだめなら3階のリビングでもよいと思います。様々な条件から1階の採光が望めないなら、リビングを上の階に持っていきましょう。「2階のリビングは家相が悪い」と考えている家相見もいますが、気にすることはありません。
吹き抜けだって活用して下さい。ただし、家の中心から半径2mは避け、大きすぎないように注意が必要です。
 トップライトも使えます。確かに、屋根に穴をあけるので漏水なども心配ですが、通常の窓より法的にも3倍以上の効力を認められています。しっかり施工してメンテナンスすれば効果的です。
天井の高さも高めに設定したいですね。理想は2.7m。通常の天井高は2.4mなので、30㌢ほど高くなります。10㌢でも高くすると、気持ちがよいですよ。
 夫婦和合して円満な家族。そのためにも家族が集まるリビングは、快適な空間にしたいですね。

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